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弄便の原因と対処法|弄便行為を叱ることなく、適切な対応をとるには

認知症高齢者に見られる「弄便」という行為は、介護者にとって大きなストレスになります。初期の対応を間違えてしまうと、症状が悪化して1日に何度も繰り返されることがあり、介護者側が精神的に参ってしまうケースも少なくありません。施設などに勤めている介護のプロですら頭を悩ませる問題なので、在宅で介護している人はなおさらでしょう。
なぜ弄便行為が起こるのか、明確にはわかっていませんが、考えられる原因はいくつか指摘されています。
今回は、認知症高齢者の介護に携わっている人のために、弄便の正しい対処法をご紹介します。

弄便イメージ1

弄便とは

弄便は、「便を弄ぶ」と書きます。本人は決して弄んでいるわけではないと思いますが、なぜ弄便と呼ばれるのでしょうか?弄便行為で現れる具体的な行動をお伝えします。

認知症の症状の一つ

弄便は、認知症患者に見られることが多い症状です。ときには、総合失調症が原因で発症する場合もあります。
具体的には、自分が排泄した便を素手でいじってみたり、周辺になすりつけたりする行為のことを指します。故意に便を弄んでいるわけではなく、便を便だと認識できていないために起こる行動と考えられています。

弄便で見られる行動

・手についた便を壁や寝具、衣類になすりつける
おむつの中に便が出たとき、手を入れて便を取り出し、自分の着ている衣類や寝具、周囲の壁などになすりつけることです。
これは、お尻に感じる不快感を取り除こうとするものの、便を便と認識していないためどうしたら良いのかわからず、とりあえず近くにあるもので汚れた手を拭こうとしているのではないかと考えられています。取り出した便を隠そうとしている場合もあるようです。

・便を口に入れる
便と認識していないため、食べ物と間違って飲み込んでしまったり、便のついた手を口に入れてしまったりすることがあります。一説では、便の色や感触が「あんこ」に似ているため、このような行動が見られるのではないかといわれています。

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弄便の原因

弄便の原因は人によって異なると考えられています。主な原因とされる要素をご紹介します。

排便感覚の低下

加齢に伴い腸の機能が弱くなるため、高齢者には便秘や下痢などの排便異常が頻繁に見られるようになります。便秘がひどい人は医師に処方された下剤を服用していることがあり、そうすると今度は下痢気味になります。
腸機能の低下や下剤の作用により便が緩くなると、排便感覚がなくなり、いつ自分が排便をしたのかわからないということが頻繁に起こります。そこに、便を不潔なものと認識できないという認知障害が加わり、弄便行為が起きるとされています。

不快感

おむつの中に便が出たとき、排便感覚はないものの、お尻に便が付着する違和感やおむつの中が蒸れる不快感は残ります。それらを取り除こうとおむつの中に手を入れて便を取り出そうとしたり、おむつ自体を外そうとしたりするのではないかと考えられています。

認知障害

排便感覚が低下している高齢者は、自分でも気づかないうちにおむつに排便していることがあります。そのとき、便を便と認識できていないため、「これは何だろう?」と不思議に思い、便を手で取り出してこねてみたりすることがあるようです。
便をいじることが不潔な行為だという認識もなく、そのまま口に運んでしまう人もいます。

自力でなんとかしようとする気持ち

便ということは認識できなくても、手に付いてしまったものを「なんとかしなければ」という気持ちは残ります。自分で処理しようと試みるものの、正しい方法がわからずに困惑してしまうことが、弄便行為につながるのではないかと考えられています。

弄便イメージ2

弄便行為があったときの正しい対応

実際に弄便を目の当たりにすると、つい感情的になってしまいがちですが、むやみに叱りつけると、認知症が悪化する場合もあります。弄便行為があったときは、正しく対応することが大切です。

叱らず、手の汚れをとる

弄便行為を発見したとき、頭ごなしに叱ったり責めたりしてはいけません。認知症の人は、自分がなぜ怒られているのかわからないだけでなく、叱られた内容自体を忘れてしまうことが多いため、「この行為をすると叱られるから、次からはやらないようにしよう」という判断につながらないからです。言われた言葉は忘れてしまっても、叱られた相手に対する恐怖心や叱られたときに感じた不快感は残るため、介護を拒否するなど、その後の介護生活に支障が出る可能性のほうが高いといえるでしょう。
弄便行為を見つけたら、それ以上家具や寝具などを汚さないよう、まずは便がついている手や体をきれいに拭いてあげましょう。

お風呂に誘導して不快感を取り除く

弄便の原因は不快感にあると考えられているため、早い段階でその不快感を取り除いてあげるのがポイントです。
「きれいにしましょうね」「すぐに気づけなくてごめんなさいね」などと優しく声をかけながら、お風呂場に誘導しましょう。
このとき、本人が嫌がっているのに無理矢理連れていったり、焦るあまりお湯が出ていない状態で洗おうとしたりすると、「風呂場=嫌な場所」という認識をされてしまい、それからは入浴を拒否するようになる場合もあるので、十分注意が必要です。

処理しやすい環境にする

弄便のときに汚れるであろう場所をあらかじめ予測しておき、被害を最小限にとどめるための工夫も必要です。
「本人が寝ているベッドの周囲に防水シートを敷いておく」「すぐに剥がせるビニール製のシートを壁に貼っておく」「便の処理に必要な掃除用具を常に近くに置いておく」など、弄便行為の後始末を素早く行える環境を整えましょう。

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弄便の予防法と改善策

では、弄便行為をさせないための予防法や、弄便行為が見られるようになった後の改善策はあるのでしょうか?

自然な排便を促し、下剤の使用を避ける

普段から消化に良い食品や十分な水分を補給してもらうように心がけ、腸の働きを活性化させるストレッチやマッサージなどを取り入れながら、なるべく自然な排便を促し、下剤の使用を避けましょう。

可能な限りトイレを利用する

弄便の原因と考えられる不快感は、おむつの中に排便することによってもたらされます。
そのため、可能な限りトイレやポータブルトイレで排便してもらうことが、弄便の解決策として効果的です。
たとえ認知症であっても、便意をもよおしたときは何らかのサインが現れる場合がほとんどです。排泄リズムや排便前の行動を観察し、「そろそろ排便の時間だな」というタイミングを見計らってトイレに連れていくと良いでしょう。
実際に、トイレで排便をしている高齢者には、ほとんど弄便の行為が見られないといわれています。

小まめにおむつを交換する

トイレでの排便が難しい場合はおむつを使用しますが、その際も排泄リズムや排便前のサインなどを把握し、見逃さないようにしてください。そして、排便があったとわかったら、便を不快に感じる前におむつを新しいものに取り替えましょう。
便の漏れを防止するために、おむつのギャザーをしっかりと立ててから使用することも重要です。

便に触れないように工夫する

上記の方法を試しても改善されない場合は、おむつを自分で外せないようにする工夫も検討しましょう。
つなぎなどの衣類を着せたり、手にミトンなどをはめたりすると、おむつの中に手が届かなくなります。
身体拘束をしているようで気が引けるかもしれませんが、状況によっては、介護者の心身の負担やストレスを軽減しないと共倒れになってしまうおそれがあります。どうしても改善されないときの最終手段として試してみてください。

プロの手を借りる

介護者側の精神的なストレスが大きい場合は、デイサービスや訪問介護を利用したり、市区町村の相談窓口などで話を聞いてもらったりしましょう。
介護のプロの手を借りれば、介護者の負担が軽減されるだけでなく、被介護者にとってもより快適な生活環境の実現へと導いてくれる可能性が高まります。
弄便対策についてのアドバイスはもちろん、場合によっては、必要なケアの提案や手配もしてくれるでしょう。

弄便イメージ3

叱りつけず、共感してあげることが重要

介護は、ただでさえ介護者に大きな負担を強いるものですが、そこに弄便などの不潔行為が加わると、介護者が受ける精神的ダメージは計り知れません。
ついカッとなって叱りつけたくなることもあるかもしれませんが、それでは何も改善できないばかりか、状況を悪化させてしまいます。そこは、ぐっとこらえてください。
大切なのは、不快な気持ちに共感してあげることです。間違った対応によって症状が悪化すると、介護者側の負担もさらに大きくなるので、正しい対応を心がけることが重要です。
どうしても対処できないときは、無理をせずに介護のプロに相談しましょう。共倒れしないように、状況に応じて柔軟な対応が求められます。

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