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認知症で徘徊し始めた人への正しい対応と介護疲れしない方法

認知症の症状の一つである「徘徊」は、近所の人や警察を巻き込む可能性があるため、介護する側にとって大きなストレスの原因になります。本人に悪気がないことは理解していても、なかなか思うように意思疎通が図れずイライラしてしまうこともあるでしょう。徘徊を繰り返す高齢者の介護をしている人は、精神的にも身体的にも追い詰められがちです。正しい対処法がわからずに一人でなんとかしようとすると、介護疲れに陥ったり、ひどいときはうつ病を発症したりするおそれがあります。そうした事態を防ぐためには、徘徊についての理解を深め、正しい対応を身に付けておくことが重要です。
今回は、認知症高齢者の介護に携わっている人に向けて、徘徊の原因と対策をご紹介します。

認知症で徘徊イメージ1

認知症の症状の一つ「徘徊」とは?

徘徊を正しく理解するためには、まず、認知症によって起こる症状や徘徊の危険性について知っておく必要があります。

徘徊とは

徘徊は認知症の「周辺症状」と呼ばれる症状の一つで、家の中だけでなく外に出て、あてもなくうろうろと歩き回る行動のことです。
認知症の症状は、大きく「中核症状」と「周辺症状」に分類されます。

・中核症状とは
中核症状は、すべての人に現れる症状をいいます。後ほどご説明しますが、「記憶障害」「見当識障害」などが該当し、程度の差はあれ、症状が進行していくものです。

・周辺症状とは
周辺症状は「BPSD (Behavioral and Psychological Symptoms of Dementiaの略語)」ともいい、本人の性格や体調、生活環境などに起因して現れます。具体的なものには「抑うつ」「妄想」などがありますが、どの症状が出るかは人によって千差万別で、徘徊もその内の一つです。

徘徊している認知症患者は、はたから見ると意味もなくうろついているように見えるかもしれません。しかし、何かしらの原因やきっかけがあり、本人なりの目的があっての行動だといわれています。

徘徊の危険性

徘徊には、事故やケガなど、さまざまな危険が伴います。
例えば、「行方不明」。認知症の人は、外に出てうろうろしているうちに、自分の居場所や帰り道がわからなくなることがあります。
誰かに保護してもらえなければ、衰弱して命が危険にさらされるだけでなく、交通事故に巻き込まれるおそれもあります。

そのほかにも、転倒によるケガや夏場の脱水症状と熱中症、冬場の低体温症といったさまざまな危険が考えられます。転倒や熱中症は、家の中での徘徊でも起こりうることなので、特に注意が必要です。

また、心身にかかる負担で介護者側が倒れてしまうこともあります。徘徊は、被介護者だけでなく介護者の体調にも影響を及ぼす症状といえるでしょう。

認知症で徘徊イメージ2

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徘徊の原因

徘徊はなぜ起こるのでしょうか?具体的な事例と一緒にご紹介します。

記憶障害や見当識障害

原因としてまず考えられるのが、先ほど「中核症状」でお伝えした「記憶障害」と「見当識障害」です。

・記憶障害とは
記憶障害とは、記憶をすっかりなくすことです。
誰にでも、一時的な物忘れや突然物事を思い出せないことはありますが、何かのきっかけでそれらの記憶は戻ってきます。
一方、認知症の記憶障害は、経験したこと自体を忘れてしまいます。ヒントやきっかけを与えても記憶が戻ってくることはありません。
わかりやすく例えれば、昨日食べた夕飯のメニューを思い出せないのが普通の物忘れで、夕飯を食べたこと自体を忘れるのが認知症の記憶障害です。

・見当識障害とは
見当識とは、周囲の人や状況、時間、場所などを認識する機能のことで、この機能に障害が生じるのが、見当識障害です。「自分が今いる場所はどこなのか」「今日は何月何日なのか」「目の前にいる人はだれなのか」といったことがわからなくなります。

【具体的な事例】
記憶障害や見当識障害を原因とした徘徊の事例としては、次のような行動が該当します。

・トイレに行こうとしたものの、トイレの場所がわからなくなり、うろうろする
・メガネ置いた場所がわからなくなり、探し回る
・財布を探し始めたものの、目的そのものを忘れてしまい、ひたすら歩き回る

不安やストレス

引っ越しで周辺環境が変化したり、慣れない場所に連れていかれたりすることで感じた大きな不安やストレスが、徘徊の引き金になることがあります。

【具体的な事例】
・引っ越し後の新しい家や環境になじめず、前の家に戻ろうとする
・家の人に叱られたことが恐怖の記憶として残り、その場所から逃れようとする
・家族が留守にしたときに独りぼっちであることに不安を覚え、うろつく
・デパートなど慣れない場所や人ごみにストレスを感じ、落ち着く場所に移動しようとする

前頭側頭型認知症

前頭葉や側頭葉が縮んでしまうことで生じる「前頭側頭型認知症」が原因になることもあります。この症状には、どんな状況でも同じ行動を繰り返すという特徴があります。「決まった時間になると家の中をぐるりと1周する」「大雪でも散歩に出ようとする」などが該当します。

行動するパターンがわかっているので大きな危険がないように見えますが、事故や転倒はいつでも起こり得るため注意が必要です。

認知症で徘徊イメージ3

徘徊への正しい対応の基本

認知症高齢者本人に降りかかるリスクと、介護者の負担を小さくするには、徘徊への適切な対応が大切です。では、どのように対応すればいいのでしょうか。

怒らない

なかなか難しいことですが、「怒らないこと」が大きなポイントです。

怒られた内容は忘れてしまっても、そのときに感じた恐怖や嫌な気持ちは残るといわれています。それによって「ここにいると嫌な思いをする」「ここは自分が気持ち良く過ごせる場所ではない」という認識につながり、安らげる場所を求めてさらに徘徊を続けるおそれがあります。
何度も徘徊を繰り返されると、つい「いい加減にして!」と声を荒らげたくなるでしょうが、かえって逆効果になるので避けてください。

理由を聞いてあげる

なぜ徘徊をするのか、その理由を問いかけ、耳を傾けてあげることも大切です。
周囲の人にはわからなくても、本人なりに徘徊する理由があります。尋ねたところで明確な答えが返ってくるとは限りませんが、会話の中にヒントとなる言葉が隠されているかもしれません。

行き先を尋ねて「自分の家へ帰る」と答えるようであれば、背後に、今住んでいる環境への不安やストレスが隠れている可能性があります。「家に泥棒がいる」と答えたなら、妄想の症状が出ていると考えられます。

本人の気持ちがわかれば、原因を取り除いてあげることができます。たとえ明確な理由がわからなくても、気持ちに共感して寄り添ってあげましょう。本人の不安が軽くなれば、症状が改善される見込みは大いにあります。

他のことに気をそらす

徘徊が始まりそうだと感じたり、徘徊している場面に遭遇したりしたら、やめさせようとするのではなく、他のことに気をそらしてあげましょう。

例えば、「家に帰る」と言って外に出ようとしたときには「帰る前にトイレに行っておきましょうか」と声をかけてトイレに誘導したり、お茶を用意して「せっかくですからお茶を一杯どうぞ」と誘ったりしてみてください。

他のことに気がそれているうちに、どこかへ行こうとしていたこと自体を忘れてしまえば、そのときはもう徘徊することはないでしょう。

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徘徊の具体的な予防策と解決策

最後に、より具体的な予防策と解決策をお伝えします。できるところから実行してみてください。

日中に適度な運動をする

無理は禁物ですが、日中に適度な運動をさせると効果的です。ラジオ体操や高齢者向けの軽いストレッチなどで十分です。
体を動かすことは脳に良い刺激を与えるだけでなく、程よく体を疲れさせることで夜ぐっすり眠れるようになり、深夜の徘徊予防につながります。

庭木の手入れや草むしりなど、運動を兼ねた役割を持たせてあげるのも良いでしょう。
男性なら日曜大工、女性なら洗濯物の取り込みなど、かつて日常的に手がけていたことをお願いするのも効果的です。誰かの役に立つことは「自分が必要とされている」という認識につながり、「自分の居場所がない」という不安が小さくなります。

そのまま歩かせてあげる

徘徊が始まったとき、状況が許すようであれば歩きたい理由を聞き出して気持ちを受け止め、そのまま歩かせてあげる方法もあります。本人がやりたいように行動できると気持ちも落ち着いてきます。
ただし、外に出る場合は、事故や迷子の心配があるので、必ず誰かが付き添ってあげてください。家の中でも、転倒したりしないように、見守ることを忘れないようにしましょう。

デイサービスなどを利用する

症状が悪化し、家で面倒を見ることが難しい場合は、デイサービスを利用するという手があります。介護に慣れたプロが対応してくれるので安心な上、レクリエーションを通して体を動かしたり、施設の周りを職員と一緒に散歩したりすれば、自宅では落ち着いて過ごせるようになる場合もあります。

玄関から出ていけないように工夫する

時と場合によっては、玄関から出ていけないように工夫をすると良いでしょう。特に、家族も寝てしまう深夜の対策が肝心です。以下の具体例を参考にしてください。

・玄関ドアの鍵を新しいものに取り替え、鍵を隠す
・被介護者の手の届かない位置に新しく鍵を設置する
・自力で開けられないように、ドアの前に大きな荷物を置いておく
・ドアが開いたことがわかるように、ベルやセンサーを設置する

玄関が開かない場合、窓から出てしまうことも考えられるので、窓の鍵を開けにくくするなどの対策を併せてしておくと安心です。

GPS端末を活用する

GPS(Global Positioning Systemの略)とは、人工衛星を利用して、地球上のどんな場所にいても現在地を正確に知ることができるシステムです。
被介護者にGPS機能のついた端末を持たせれば、目を離したすきに姿が見えなくなっても、すぐに位置を把握することができます。
本人が持つことを嫌がる場合は、巾着袋などに入れて首からぶら下げると良いでしょう。それも嫌がる場合は、以下の方法を試してみてください。

・いつも持ち歩くバッグや服のポケットにこっそり入れる、あるいは縫いつける
・GPS機能のついた靴を履かせる
・持ち物に隠しポケットをつけ、その中に入れておく
・気付いて取り出してしまう場合は、複数の端末を持たせる

服や持ち物に名札をつけておく

よく着る服や持ち物、靴の内側などに、名前と連絡先を記したカードをつけておくと、自分で氏名や住所が言えなくても、徘徊の途中で保護されたときに家まで送り届けてもらえる可能性が高まります。
目立たないところに縫いつけても良いですし、差し支えなければ接着剤で貼りつけても良いでしょう。

近所の人や交番に連絡しておく

いろいろと対策を施しても外に出てしまった場合、やはり頼れるのは、ご近所さんや交番です。
住んでいる地域の民生委員や自治会の役員、近所の方に徘徊の症状が見られる事実を伝え、見かけたら連絡をくれるように頼んでおきましょう。
交番には、徘徊の事実と身長や髪形などの身体的特徴を伝え、必要な情報を共有しておくことが重要です。万が一のときに迅速に対応してもらえます。

徘徊の悪化を防ぐには、正しい対応を身に付けることが大切

認知症の徘徊への対応で心がけたいのは、徘徊する本人の気持ちをくむことと、介護者が一人の場合はすべて一人で背負おうとしないことです。また、家族や福祉サービス、近所の人の力も積極的に借りることが大切です。
徘徊は、介護者を疲労困憊させます。徘徊が始まったときに間違った接し方をすると、症状を悪化させることにつながります。介護者が倒れてしまっては、被介護者も困ってしまうので、介護者側が少しでも自分の負担を軽くできるように正しい対処の仕方を身に付けることが肝心です。

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