療養病床が2017年度末に廃止|受け皿になる3つの新施設の特徴とは


 
「療養病床」とは、病院にある「一般病床」「療養病床」「精神病床」「感染症病床」「結核病床」という5種類の病床群の中の一つです。病気や加齢などで長期の休養を必要としている人が対象で、充実した医療ケアを受けられるというメリットがあります。
高齢化が進むとともに需要が高まり、施設数は年々増加していましたが、2017年度末での廃止が決まり、廃止後は代わりとなる3つの新施設を誕生させる方針で議論が進んでいます(2017年4月末現在)。
今回は、現在介護に携わっている人に向けて、療養病床が廃止される経緯と新たな受け皿になる3類型の施設の特徴についてご紹介します。
 
【目次】
1.療養病床って何?
2.療養病床が廃止される経緯
3.廃止後の受け皿になる3種類の新施設
4.満足のいくサービスを受けるため、新施設の特徴を理解しよう
 
 

療養病床って何?

病院や診療所などの医療機関に設置されている療養病床の利用には、医療保険と介護保険が適用されます。
 
●療養病床とは
療養病床は、急性期の治療を施す「一般病棟」とは対照的に、ある程度病状が安定している慢性期の患者の長期療養を目的として医療措置やリハビリなどのサービスを提供します。また、要介護認定を受けた高齢者を対象とする、介護型の療養病床も存在します。日常生活動作(ADL:Activities of Daily Living)の拡大を目指す介護型の療養病床では、医療措置やリハビリだけでなく、介護度に合わせた身体介助も受けられます。
 
2017年4月時点で、介護型の療養病床は2017年度末で廃止され、3~6年の経過措置期間(新施設への段階的な移行措置期間)を経た後、受け皿になる「3つの新施設」の運営をスタートさせる方針が決定しています。
 
●療養病床の種類
療養病床には、「医療療養病床」と「介護療養病床」という2つの種類があります。それぞれ適用される保険が異なり、医療療養病床では医療保険、介護療養病床の場合は介護保険が適応されるサービスが提供されます。
 
それぞれの特徴を比較してみましょう。
 
・医療療養病床
入院の目的:早期退院に向けた経過的な医療措置
入院の条件:「慢性期」の病状である
入院期間の目安:原則として3カ月間
年齢制限:なし
医療措置以外の提供サービス:機能訓練(リハビリなど)
スタッフの特徴:医療行為の担当は看護師、介助などは看護補助者やケアワーカーが担当
月額費用の目安:15万~30万円(医療およびADL区分や年齢などにより異なる)
 
・介護療養病床
入院の目的:ADLや生活の質(QOL:Quality Of Life)の向上
入院の条件:要介護認定を受けていて(要介護1以上)医療措置が必要
入院期間の目安:1年間
年齢制限:原則として65歳以上(65歳未満でも受け入れる場合もある)
医療措置以外の提供サービス:機能訓練(リハビリなど)
スタッフの特徴:介護福祉士を中心とするケアスタッフが介助
月額費用の目安:15万円前後(介護度により異なる)
 
※入院機関と月額費用はあくまでも目安であり、条件などによって異なります。
 

 

療養病床が廃止される経緯

療養病床の廃止に伴う新施設は、2018年4月からスタートします。ここでは、療養病床が廃止される経緯と理由をお伝えします。
 
●廃止の経緯
厚生労働省は、2016年12月に、2017年度末で介護療養病床を廃止する方針を発表しました。実は、2006年にも同じ方針が厚生労働省から発表(2011年度末での廃止を検討)されましたが、当時は本来の移行先であった「介護老人保健施設」などへの移行が進まず、改正を延長した結果、2017年度末での廃止に至りました。
 
・廃止の理由
2011年度末での廃止を検討していた段階で、厚生労働省は、医療療養病床と介護療養病床の入院患者の状況を調査し、「医療の必要性の高い患者と低い患者が同じ比率で混在する」という統計を出しています。
そこで、介護療養病床に入院する医療措置の必要性の低い患者を「従来から介護保険サービスを提供する介護施設」に移し、医療措置の必要性の高い患者は「医療療養病床」にスライドさせることで、より効率的なケアを実施できるようにするだけでなく、以前から抱える高額医療費の問題や、看護スタッフの人員不足もまとめて解決しようというのが、療養病床を廃止する理由です。
 
●転換の現状
・介護療養病床
2006年の時点で全国の介護療養病床数は約12.2万床でしたが、現状は5.9万床減の約6.3万床です。2011年以降、介護療養病床数の新設は認められていないものの、大幅に減少しているということは、すでに廃止に伴う影響が出ていると考えられます。
 
・医療療養病床
2006年の時点で全国の医療療養病床数は約26.2万床でしたが、現状は1.5万床増の約27.7万床です。大幅減少している介護療養病床とは対照的にほぼ横ばいですが、2018年4月から実施する転換の対象になるのは「療養病床全体で約14万床」のみです。そのため、入院比率で上回る医療療養病床の入院患者があぶれ、行き場所がなくなることを懸念した「反対派の意見」もあります。
 
 

廃止後の受け皿になる3種類の新施設

厚生労働省の発表によると、療養病床の廃止に伴う新たな施設は、身体機能や医療重要度によって3つに分かれることを想定しています。
 
●Ⅰ型
・施設基準が「介護療養病床」に相当
介護療養病床に相当するⅠ型は、「容体が急変するリスクが高い人」を受け入れる方針です。現行の介護療養病床は「要介護1~5」を受け入れていますが、転換後は、医療重要度や介護ニーズが高く、24時間の看取り・ターミナルケアにも対応した施設を想定しています。そのため、Ⅰ型の入所基準は「要介護4~5」と高くなる見通しです。
 
また、看護スタッフによる喀痰(かくたん)吸引や経管栄養などの医療行為も実施するため、従来の介護施設のケアスタッフだけでは対応しきれない面を強化できるというメリットがあります。その分現場スタッフには医療・介護に関する高い知識と技術が求められるので、業界全体の人手不足を考えると、「適正人員の配置が可能かどうか」という点を解決する必要があります。
 
●Ⅱ型
・施設基準が「介護老人保健施設」に相当
介護老人保健施設(老健)に相当するⅡ型は、「Ⅰ型と比較して医療・介護の度合いが安定している人」を受け入れる方針です。看取り(ターミナルケア)に関しては、職員が業務用のデバイスを常に所持し、緊急時に対応できるように待機している「オンコール体制」での対応を想定しています。つまり、24時間体制ではあるものの、オンコールの場合のみターミナルケア加算(診療報酬における点数加算)が発生する仕組みです。
 
老健の月額利用料は8万~13万円が相場のため、Ⅱ型に転換すれば従来の療養病床よりも費用を抑えられます。また、老健は終身制ではなく、3カ月ごとに入退所の判定を実施します。よって、1年単位での長期入所は難しく、療養病床に移行する場合もありますが、療養病床が廃止されるため、別のところに移行される可能性があります。Ⅱ型への転換でも同じような問題が懸念されます。
 
●医療外付け型
・施設基準が「医療機関+有料老人ホーム」に相当
医療外付け型では、医療機関が特定施設入居者生活介護(特定施設)を包括する、新たなタイプの介護サービスを想定しています。入居基準は、「Ⅱ型」および特定施設の「有料老人ホーム」と同じです。特定施設は要支援1から入居基準を設けているため、Ⅱ型よりも自立度が高い人を受け入れる見通しです。
 
特定施設の場合は療養病床と違い、「独立した居住スペースが確保できる」「手厚い介護サービスを受けられる」という特徴も兼ね備えています。現在の療養病床は、4~8人ほどの病室に入院し、看護スタッフの配置基準が4:1です。それに対して特定施設では、一人ずつ個室で生活できて、介護スタッフの配置基準も3:1と充実しているのが特徴です。
 
【参考】
厚生労働省「第7回社会保障審議会療養病床の在り方等に関する特別部会」(平成28年12月7日)
厚生労働省社会保障審議会 療養病床の在り方等に関する特別部会「療養病床の在り方等に関する議論の整理」(平成28年12月20日)
 
 

満足のいくサービスを受けるため、新施設の特徴を理解しよう

療養病床の廃止制度は、あくまで基本方針です。実際に転換できる施設の総数は公表されていないため、在宅復帰を視野に入れた動きもあります。しかし、「家族による在宅介護が難しい場合はどうするのか」「十分な在宅医療や在宅介護サービスを提供できるのか」など、転換の裏には解決しなければならない問題も多く抱えています。
療養病床に入院している人は、受け皿となる3タイプの施設の特徴をよく比較検討しておきましょう。新施設に関する相談相手には、病院の窓口であるソーシャルワーカーやケースワーカーだけを選ぶのではなく、ケアマネジャーやサービス提供責任者といった介護現場のスペシャリストも選択肢に入れることが重要です。
 

(注)本記事の内容は、公的機関の掲出物ではありません。記事掲載日時点の情報に基づき作成しておりますが、最新の情報を保証するものではございません。

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