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終活とは?自分らしい最期を迎えるために必要な3つのこと

「終活」という言葉を聞いたことはありますか?終活は、死と向き合い、最後まで自分らしい人生を送るための準備のことです。
終活にはさまざまな形があります。子育てが終わり定年退職を迎えた方ならば、これからの生活をどうやって充実させようかと考えるでしょうし、まだ定年を迎える年齢ではなくても、自分の老後について今から準備をしておきたいと考える方もいるでしょう。現在介護をしている両親や義父母に、残された時間を有意義に過ごしてもらいたいと思っている方もいるかもしれません。
そこで今回は、後悔しない老後生活を送るために「終活で必要な3つのポイント」をご紹介します。

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終活とは?

終活は自分の死と向き合うことですが、死生観は十人十色で、年代によっても死に対する考え方や受け入れ方が異なります。終活を正しく理解するためには、終活という言葉が定着しはじめた背景から知っておく必要があります。

終活の背景と日本の高齢化

終活とは「人生の終わりについて考える活動」を略した造語で、2009年に終活に関する書籍が出版されたことを機に徐々に広がりはじめ、2011年の映画『エンディングノート』の公開や、2012年の「ユーキャン新語・流行語大賞」でのトップテン選出などを経て、社会現象を巻き起こしました。
また、当時は「団塊の世代」(「第一次ベビーブーム」と呼ばれる1947年から49年の3年間に生まれた人たち)が定年退職を迎えるなど、日本の高齢化を象徴する時代だったという背景も存在します。

終活の目的は人生の最終調整

年齢を重ねれば、健康状態だけでなく「死」と向き合う機会が増えますが、終活を行うことで、自分の置かれている状況を客観的に把握できます。
例えば、「これまでの人生を振り返る」「残される家族のことを考える」「友人、知人、今までお世話になった人たちへの思いをつづる」「やり残したことや叶わなかった夢などを書き出す」などを行うことで、余生を通してできること・できないことの整理につながります。つまり終活とは、若い人たちがこれから先の長い未来に対して描く人生設計とは違い、完成した作品の手直しに近い「より現実的」なものです。現実的な事前準備ができてこそ、残された家族への負担も減らせるのです。

終活のメリット

終活で得られるメリットは、主に3つあります。
1つ目は、自分の意思が家族に伝わり、老後の生活が前向きになることです。ただ、死を前提とする話は、健常な人であれば最初は戸惑うものであり、聞かされる側も驚いてしまう可能性が高いので、伝えるときはまず「自身の健康状態から切り出す」のがポイントです。

2つ目は、残された老後生活が充実することです。死を人生のゴールとするなら、先行きが曖昧なゴールより、ある程度自身で把握できたほうが、残りの時間を有効に活用できるでしょう。

3つ目は、遺産相続のトラブルを回避できることです。金銭が関わる遺産相続では、「誰がどれだけ受け取れるか」が明確になっていないと、大きなトラブルに発展するおそれがあります。自分が生きているうちに、遺言書を残すことはもちろん、相続する相手とも話し合いを進めておきましょう。

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終活1:エンディングノートを書く

「終」という字を使うものの、「死ぬ」ではなく「生きる」に焦点を当てるのが終活の目的です。終活でやるべきことの1つ目として、エンディングノートを書きましょう。

エンディングノートとは

エンディングノートには、正式な規格は存在しません。書かなければならない項目が決められているわけではなく、ノートの中に実際に記載する情報量も人によって異なります。自由書式の職務経歴書をイメージすればわかりやすいかもしれません。
エンディングノートを書く目的は、主に「自分の死後、家族にかかる負担を減らすこと」です。

エンディングノートと遺言書の違い

エンディングノートには、プロフィールや自分史、現在の健康状態、葬儀・お墓についての希望、その他気がかりなことなどを記載するのが一般的です。
一方、遺言書にはどんなことを書くのかというと、財産の処分方法や子どもの認知といった法的効力があるものに限られます。遺言書の法的効力は、本人の死後に初めて効果を発揮するため、エンディングノートのように生前の情報を記載することはありません。

法的効力を持たないエンディングノートでは、遺産相続ができない他、死後の開封が自由にできたり、医療・介護などの生前についての希望を書けたりもします。
法的効力を持つ遺言書では遺産相続ができます。しかし、自筆遺言の場合はたとえ夫婦であっても、家庭裁判所以外死後の開封はできません。医療・介護などの生前についての希望も記せません。

エンディングノートの便利な活用方法

エンディングノートは、「プロフィール」や「葬儀に関すること」などと項目を分けることで書きやすくなり、見る側も読みやすくなります。
エンディングノートに記載すると良い項目を具体的に見ていきましょう。

・本人情報
名前、生年月日、血液型、住所、本籍地、住民票コード、マイナンバーなど

・自分史
学歴、職歴、結婚、出産、夫婦の記念日、マイホーム購入時期、歴代のマイカー紹介、職場での功績、馴染みの土地、幼少期から各年代の思い出、特技、趣味など

・関係する人物との間柄や連絡先
家族、兄弟、親戚、同居していない家族、養子、家系図、友人、知人、職場関係者、恩人、法的関係の相談者など

・財産について
預貯金、口座番号、公共料金などの自動引き落とし情報、クレジットカード情報、基礎年金番号、各種加入保険、株式、不動産、借入金やローン、骨董品、貸金、有価証券や金融資産など

・介護や医療について
希望する介護や医療施設、費用、後見人(財産管理などを任せられる人)、延命措置の詳細、臓器提供、介護や治療方針の決定者、医療カウンセラーなど

・葬儀について
喪主に頼みたいこと、宗派や宗教、戒名や法名、葬儀業者や会場、遺影写真、参列者リストなど

・お墓について
埋葬方法、希望墓地、購入費用、墓地の使用権者、墓地の継承者、手入れ、お供え物など

・遺言書について
遺産分割の内容、遺言書の有無、相続リスト、それらの保管場所など

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終活2:遺言書を書く

「死人に口なし」といいますが、綿密に終活を行えばそのようなことはありません。
終活でやるべきことの2つ目は、遺言書を書くことです。ここでは、遺言書の種類や遺言書が無効になるケースなどについてまとめました。

遺言書とは遺産相続を円滑にするための意思表示

遺言書の目的は、財産の相続人や分配を明確にすることです。
遺産相続といっても収入ばかりではなく、借金などがある場合はそれらも肩代わりしなければなりません。また、遺産相続には相続税がかかるため、遺言書の内容次第ではトラブルに発展するケースも存在します。
大きなトラブルを事前に防ぐためにも、遺産相続についての詳細を明確にしておくことが重要です。法律上で「死後の意思表示」として認められる遺言書は、残された家族が揉めないように準備するものといえるでしょう。

遺言書の種類を把握する

遺言書が法的効力を発揮するためには、法律で定められた範囲内で書かれている必要があります。正式な遺言書の形式には「普通方式」と「特別方式」という2つの種類があり、一般的なケースでは、普通方式を用います。普通方式は、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類に分かれています。

・自筆証書遺言
自分で遺言書を作成する方式です。手書きでなければならず、パソコン等を使った場合は無効とされる他、遺言内容の理由を書いたり、遺言書の作成年月日を明記したりする必要もあります。

・公正証書遺言
公証役場にいる公証人によって作成・発行・保管されるタイプの遺言書です。公証人は公の権力を根拠に証明や認証ができる法律の専門家であるため、遺言書の安全・確実・真正という点では3種類の中で最も優れています。ただし、「作成期間を要する」「費用が発生する」というデメリットもあります。

・秘密証書遺言
遺言書そのものは自分で作成し、公証役場に持ち込んで保管してもらう方式です。遺言の内容を自分以外の誰かに知られずに済むという特徴があります。ただ、公証役場は保管のみを行い内容の確認はしないため、遺言を開封した時点で記載に不備があった場合は無効になることもあります。自筆証書遺言と違って代筆やパソコン等での記載が認められるという特徴がある他、公証役場を経由するため本人の遺言書であるかどうかの信憑性も保証されます。

遺言書が無効になるケース

自筆証書遺言は手書き以外認められず、秘密証書遺言では記載の不備で無効になるケースがあります。
その他「押印や日付の記載がない」「日時が特定できない」「署名がない」「本人以外の人が書いた(署名も含む)」「共同(2人以上)で書いた」「相続する財産内容が不明確である」「公証人が2人以上いない状態で書いた」「公証人に身振り手振りで伝えた(口頭で説明しない)」などに該当する場合は、遺言書として認められません。

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終活3:お墓を決める

終活でやるべき3つ目の項目はお墓を決めることです。後悔しないために、お墓の種類と選び方のポイントをお伝えします。

お墓の種類

・公営墓地
各都道府県や市町村が運営している墓地です。限定された募集期間内での公募・抽選によって選ばれます。また、墓石の大きさに制限がある他、公営墓地の所在地と同じ地域の住民でなければならないなどの条件があります。

・民営墓地
公益法人・宗教法人といった民間事業者が運営している墓地です。公営墓地に比べて購入する側に必要な条件や資格の制限が少ないという点がメリットです。ただし、公営墓地より購入費用が割高な傾向があります。

・寺院墓地
宗教法人が運営する寺院墓地では、寺院と「檀家(だんか)」の関係を築くことが条件になります。檀家とは、寺院にお布施(ふせ)と呼ばれる経済的支援をすることで、寺院が法要全般を担うという、従来の日本に伝わる伝統的な制度です。

・永代供養墓地
主な運営者である寺院が、永代にわたって個人のお墓の供養と管理をしてくれます。永代供養は納骨の際に使用料を一括で払い、その後の管理費も発生しないのが一般的です。最近は、家庭環境の変化や少子化などから、公営墓地でも永代供養を求める人が増えつつあります。

お墓を選ぶときのチェックポイント

・宗派
公営墓地や民営墓地は宗派の指定がないものの、宗教法人が主体の寺院墓地では、宗派による制限があります。よって、寺院墓地を検討する場合は、寺院の宗派はもちろん、自分の宗派を確認する必要があります。また、仏教は原則として寺院ですが、神道は神社、キリスト教は教会になりますので、管轄の違いにも注意しましょう。

・立地条件と設備
場所によっては交通機関でのアクセスが困難だったり、墓地自体が丘陵地に面していたりすることもあります。立地選びの際は、駐車場や永代供養の有無、バリアフリー構造の有無、交通面などを視野に入れて検討することが大切です。

・費用
お墓を購入する際にかかる費用は、主に「墓石代」「永代使用料」「年間管理費」の3種類に分けられます。
墓石代は石の種類から施工費まであり、石の使用料によっても価格は変動します。
永代使用料は、契約時に1回だけ納めるのが基本で、不動産の相場のように立地条件やアクセスなどで価格が変動します。
年間管理費は、公営墓地→民営墓地→寺院墓地の順に価格が高くなり、年に1度管理者に支払います。

・環境
安らかに眠れるよう、納得できる環境を選びたいところです。本人と関係する土地や夫婦・家族との思い出の場所など、立地条件と照らし合わせながら適切な場所を検討しましょう。日照時間や積雪、寒暖差といったシーズンごとの特徴、地盤や水はけなど地形の特徴も判断基準になります。

死と向き合い、限りある時間を良いものに

終活は、自分の人生を全うし、残される家族のために行う大切なもの。自分の老後について考えたいという方は、思い立った日から始めると良いでしょう。また、現在両親や義理の両親を介護中の方は、彼らの残りの時間を充実させるためにも、終活を勧めてみてはいかがですか?最後まで自分らしく生きるためには、死から目を背けず、限りある時間の上手な使い方を考えることが重要なのです。

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